2015 第30回サロマ湖100kmウルトラマラソン 前日編に続いて、以下はレース当日編。
無事完走できました!!
エイドステーションを除いて、一度も止まらず、歩かず。
サロマへ向かう前に、改めて村上春樹さんの「走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)」のサロマ湖ウルトラ(1996年)の章「もう誰もテーブルを叩かず、誰もコップを投げなかった」を読み返し(何回読んだことか。)、気持ちを高めていました。
(引用)無理をして走り続けるよりは、ある程度歩いた方が賢明だったのかもしれない。多くのランナーはそうしていた。歩きながら脚を休める、でも僕は一度も歩かなかった。ストレッチングのための休憩はこまめにとった。しかし歩かない。僕はなにも歩くためにこのレースに参加したんじゃない。走るために参加したのだ。そのためにーそのためだけにー飛行機に乗ってわざわざ日本の北端にまでやってきたのだ。どんなに走るスピードが落ちたとしても、歩くわけにはいかない。それがルールだ。もし自分で決めたルールを一度でも破ったら、この先更にたくさんのルールを破ることになるだろうし、そうなったら、このレースを完走することはおそらくむずかしくなる。(引用終わり)
今回、このフレーズを何度も思い出していました。。
ラップもつけますが、↓ キロ5分半程度の一定ペースでかなりの距離を行けたことが本当に驚きです。
私はフルマラソンは、やっとこサブ4程度のランナーなのですが、ウルトラマラソンで、42.195kmの時点でサブ4を達成するとは。。
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サロマ湖100kmウルトラは、スタート地点とゴール地点が別の場所にあり、移動にはシャトルバスで1時間かかります。
従って、宿をスタート地点近くにとるか、ゴール地点近くに取るかは思案のしどころでした。
ゴール地点近くに宿を取ると、朝早起きしてゴール地点まで行き、シャトルバスに乗らなければなりません。
一方、スタート地点近くに宿泊すれば、1時間以上ゆっくり寝られることになります。しかし、ゴール後、1時間かけてスタート地点まで戻らなければならず、ゆっくりできないし、しんどい。
我々は、早起きすることを選択し、ゴール地点まで車で30分ほどの網走に宿泊することにしたのです。
宿でシャツにゼッケンを貼り、シューズにはICタグを付け、起きたら何も考えずに出られる状態にして就寝。
サロマ湖ウルトラは3か所(30km、63.5km、80km)にスペシャルドリンクを置くことができます。
倒れてもこぼれない高さ20cm以内の容器に入れておけば、何を入れても構いません。
私は、54.5kmの地点にデポバッグを置けることもあり、そこで十分補給をすることが出来、63.5kmはそこから9kmしかないので63.5kmには置かず、30kmと80kmにスペシャルを置くことにしました。
中身はいずれもベスパ、エナジージェル、アミノ酸粉末、レッドブル缶。
Tくんのいびきに苦戦しつつ、何とか寝れても断続的に起こされましたが、とにかく身体を休めて無事午前2時に起床。
車でゴール地点の常呂町スポーツセンターへ移動します。
その道中、出発してから30分くらい経ったころ、Tくんは、突如、ワサワサし始め、シャトルバスのチケットをホテルに忘れてきたと天を仰ぐようなことを言い、車内は大騒ぎになりかけましたが、予約メールから何とかQRコードを見つけることが出来、事なきを得ました。
しっかりしてそうで天然なTくん。。。
どんなときでも大船に乗ったつもりでいてはいけないと痛感したひとときでした(苦笑)。
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駐車場にはいたってスムーズに入ることができました。
さすがの運営です。
そしてシャトルバスに乗るランナーの列へ。
シャトルバスへの乗り込みも、まぁスムーズ。
これだけのランナーがいるわけですから、乗り込みまでに少々時間がかかるのは当たり前です。
バス内では、宿の好意で朝食をおにぎりにしてもらったのですが、大おにぎり2個、バナナ1本、大福1個、クリームパン3個、ベスパ1個、アミノ酸一袋、漢方一袋を無理やり摂取。
とにかくカロリーを貯めこんでおかねばなりません。
胃に押し込み、食べ終わってウトウトしかけたころにスタート地点の湧別総合体育館に4時過ぎに到着。
もう明るいです。
最終の着替えとトイレを済ませます。
とにかくスタート時は寒いと予想していましたが、それほどでもなく、結局100均で買ったレインコートは、ギリギリまで着て、スタート前に捨てました。
私とTくんは、先に準備が出来たので、Oさんにトイレ行ってきます!と伝えて行ったのですが、ご承知のとおり、マラソン大会というのはトイレは大行列になります。
結局我々はスタート10分前にようやくトイレを終えられたのですが、なんと、Oさん、トイレに行かず、我々の荷物の番をしてくれていました!!!
まさか!
それぞれ荷物は置いておいて、トイレに行くのが当たり前だと思っていましたが、油断していました。
Oさん、いい人すぎます。
急いでOさんにトイレに行ってもらい、われわれは3人分の荷物を預け、結局Oさんと会えないままスタートラインへ。
ものすごく申し訳ない気持ちでスタートラインに向かったのでした。
(結局Oさんも間に合い、Tくんと一緒にスタート出来たと聞いたのはゴール後でしたので、私はレース中ずっとOさんはどうだったんだろうという心配する気持ちを抱えたまま走っていました)
↓ そうはいっても写真は撮ったのですが。
スタート6分前ですが、我々は、まだランナーの列に入らず、Oさんを待っていました。
いよいよ最終的に列に入れなくなる可能性が出てきたので、Tくんと握手をし、私は小走りで登録の部の列(一般より前からスタートできるのです)、Tくんは一般の部の列に移動。
ランナーの列に入って1分でスタート!
全くウォーミングアップなし!!!
走り始めてからは、Oさんを待って気持ちがせかせかしていたのを落ち着けることに専念し、ウルトラだからといってわざとスピードを落としてゆっくり走るようなことはせず、自分の心地よいペースを刻もうと心がけていました。
ちなみに、ブルーのゼッケンは、サロマンブルーゼッケンといって、100kmを10回以上完走した方だけが付けられる尊敬を集めるゼッケンです。
走りはじめは、食べ過ぎ(笑)で、お腹が重く、今日は調子悪いのかもな~と思いながら走っていました。
サロマンブルーのランナーはやはり、一定のペースでキレイなフォームで走っておられる方が多く、リズムを作るために後ろに付かせて貰ったりしていました。
折り返してきたランナーとすれ違い始めます。
一番に折り返してきたランナーはワイナイナ選手ともう一人日本人の選手でした。
三里番屋の折り返し。18.7km。
折り返してからしばらく11、12kmくらい、後方ランナーとすれ違いながらのランニングになるため、ひたすらTくんとOさんを探しながら走っていました。
結局会えたのはTくんだけ。
ハイタッチして互いの健闘を祈ります。
Tくんはとても元気そうだったので元気をもらう。
↓そしてオホーツク国道へ。
しばらく行くと、スペシャルを預けている30km地点。
周囲に迷惑になりそうだったので写真は撮れませんでしたが、私のスペシャルは目立っており、すぐに見つけることができました。
プラン通り、スタート時に持っていたジェル、アミノ酸は全部取って手元に無くなっており、速やかに新しいジェル、アミノ酸をウェストポーチに入れ、レッドブルを一気飲みしてスタート。
F1レースのピットインみたいな感じ。
30km付近のラップを見ても全く落ちていませんね。
↓ 車両規制がありませんので、路肩を走る場面が序盤はけっこう出てきます。
↓ 淡々と走っていると、42.195km地点へ到達。
自分ではラップタイムしか確認しなかったので、ここで3時間55分と確認してびっくり!!
ウルトラマラソンでサブ4や~~ん。
いつものフルマラソンではフルの時点でへとへとなのに、自分的には、今のスピードでまだまだ行ける感覚でした。
道の端っこをひたすら前進!
結構飛ばしている車もあれば、窓をあけて応援してくれる車もあり。
この辺から暑くなってきて、水切れ気味で走っていました。
ひたすら次のエイドを目指して走る。
↓ 54.5km地点に到着。
レストステーションです。
ここでは、預けていた荷物を受け取ることが出来ます。
このレースの運営のすごいところは、ここへ入ってきた瞬間に私のデポバッグを渡されたこと。
入ってくる少し前にゼッケンを確認し、先に荷物を準備しておいてくれるのです!
入ったら自分で荷物を探すつもりだった私はびっくり。
人によってはここで靴を履きかえたり、シャツを変えたりするようです。
私は靴もシャツも変えるつもりはなく、ここで長居してはいけないと思っていたので、30kmで補充後、全て消費していたジェル、アミノ酸を補充し、レッドブルを飲み、トイレにも行かず、エアーサロンパスだけ入念に足に振り掛け、すぐにリスタート。
ラップを見る限り、5分ほどは滞在したようです。
(ちなみに、レース中、トイレ休憩は並ばなくてよいトイレを見つけた2回。トイレロスはほとんど無かったと思います)
60km地点到達。
5時間45分経過。
10kmを1時間を切るペースで行くことを心がけていました。
サブ10を意識し始めたのはこのころです。
私は、目標タイムが途中で定まった場合、計算しながら走ります。
残り40km、15分の貯金を上手に使っていけば、10時間以内にゴールできる。
行ける限りキロ6分を切るペースで行けばよい。
淡々とラップを刻んでいきます。
足は徐々に重たくなっているのですが、特にどこも痛くない。
今のペースは、自分的には速くない。
息も切れていない。
あとはメンタルだけと思いながらの走り。
60km、70km走ってきたという事実は、それだけで自分を肯定してしまい、よくやった、つらいし、もういいんじゃないか、と思ってしまいがちです。
ウルトラは他人との戦いではなく、自分との対話。
メンタル的に自分を肯定してしまわないよう、とにかくペースキープを心がけながら進んでいました。
ここらあたりは魔女の森というのでしょうか?
ここ、すごく気持ちよかったです。
↓ 有名な私設エイドさん。67,68km地点あたりだったでしょうか。
サロマ湖ウルトラを書いているブログには必ず出てきますよね(笑)
冷たいおしぼりとお水が嬉しかったです。
本当にありがとうございます。
屋根の上で旗を振って応援してくれている!!!
70kmを過ぎたころから、太陽が出てきました。
天気予報は曇り時々雨だったと思うのですが、一番いいときに太陽が出てきて、キツ嬉しい気分に。
早朝からの空の明るさの変化、曇天から晴天へは、写真を見て頂ければお分かりになられると思います。
↓ そうめんとおしるこエイド。ずっとジェルばかりだったので、固形物がうれしかったです。ありがとうございました。
個人的には70km~80kmあたりの、延々続く歩道を走る区間がきつかったかな。道路からの照り返しが暑いのと、50kmの部の選手とのスピードの違いとの兼ね合いで、ペースが少々難しかった。
しかし、青空はテンションを高めてくれます。
こんな景色を見ながら走れるのですから!
いよいよ80km手前のエイドに到着。
ここでスペシャルを受け取ります。
これまでどおり、ポーチに補充してすぐ出発。
ミストシャワーを抜けると、少し上りがあり、そこが80km地点。
林を抜けると、コースのハイライト&クライマックスのワッカ原生花園!!!!!
辿り着いた!!
長い長い半島状になった最後の原生花園のコースに入ってからは、そんな気持ちがとりわけ強くなっていった。瞑想状態にも似た走り方になった。海辺の景色は美しく、オホーツク海の海の匂いが感じられた。既に夕暮れが始まって(出発したのは早朝だったのだが)、空気が独特の澄みわたり方をしていた。夏の初めの、深い草の匂いもした。数頭の狐たちが野原の中に群れているのも見えた。彼らは物珍しげにランナーたちを見ていた。十九世紀のイギリスの風景画に出てくるような意味深げな雲が重厚に空を覆っていた、風はまったくない。僕のまわりで多くの人々が、ただ黙々とゴールに向かって歩を運んでいた。そんな中にあって、僕はとても静かな幸福感を感じることができた。(前述「走ることについて語るときに僕の語ること」村上春樹)
予報は曇天だったのに、ワッカに入るところで太陽と青空とサロマンブルー。
なんかとてつもない感謝の気持ちが心の奥底から湧き出てきて、数分間、感動してしまい、涙を流しながら走っていました。
(写真はクリックすると拡大されます)
90km手前の折り返し地点。
レースの数日前に、フェイスブックで折り返し地点変更のお知らせ(工事の関係で)が上げられていました。
90km地点到達。
ラップを見る限り、まだキロ6分まで落ちてない。
この時点での貯金は12分あり、残り10kmを72分かからなければサブ10だと思いながら走っていました。
キロ7分でも70分。
行けそうや、と冷静に計算しながら、でも7分には絶対に落とさないぞと歩を進める。
すれ違うランナーはみなキツそう。
自然と互いに声を掛けあいます。
ちなみにワッカ原生花園に入ってから出るまで、約17kmくらいのはずです。
結構長いです。
ワッカを出る直前にあと3kmの表示が現れました。
この直前でOさんと初めてすれ違い、声を掛けあうことができました。
私はそのころ、残り少なくなってきて、ヘロヘロの状態になってましたが。。
でも、心配しながら走ってきたのが、ようやく「良かった、彼女もちゃんと走れてて、ここまで来れたんだ」とわかり、最後のエネルギーを貰いました。
カウントダウンが始まります。
さすがに気持ちはあっても足が出なくなり、キロ6分を超えてしまわざるを得なくなりました。
それでも、キツイのは皆同じと思い、1人1人パスしていきます。
↓ やっと見えてきたゴールゲート。
嬉しさというより、安堵の気持ちの方が大きかったな。
私らしく、右手にカメラを持った状態でゴール!
ゴールゲートを過ぎると、Tくんが満面の笑みでいてびっくり。
頑張ってるとばかり思っていましたが、レースの1か月前に身体に起きたアクシデントもあり、今回は大事をとって撤退したとのこと。
それでも42.195kmを超え、ウルトラの領域(54.5km)まで行ったのですから立派です!
Tくんは他人の幸せを自分のことのように喜べる素晴らしい好青年。
心が大きく、優しい人ですわ。
しばらく待っていると、Oさんも満面の笑みで帰ってきました!
完走おめでとう!!!
初の100kmウルトラ、50km以上走ったことが無かったのに、12時間を切る好タイム。
素晴らしいです。
ハイタッチを求める我々を素通りして元気に駆け抜けて行ってしまいました。。
↓ ゴール後は、1000円分のチケットとドリンク引換券が貰えます。
表彰式を見ながら、発泡酒やらビールやら、焼き鳥やらから揚げやらを楽しみ、会場を後にしました。
サロマ湖100kmウルトラマラソン。
今回初めて参加させて頂きましたが、運営の手際の良さはさすがでした。
応援の温かさも大変ありがたかったです。
関係者のみなさん、一緒に走った選手の皆さん、素晴らしい大会をありがとうございました。
来年はTくんがリベンジするそうですので、私も出来れば参加させて頂きたいと思っています。