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遺産分割で相続人の1人が行方不明

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「親が亡くなり、遺産分割協議をしなければならなくなりました。相続人は、私と弟です。弟は、約15年前に家を出て以来、音信不通で、どこで何をしているのか、生きているのかどうかも不明です。どうすればよいでしょうか」


どの本を調べても、インターネットのどのサイトを調べても、遺産分割協議は相続人全員で行わなければならない、と書いてあります。


相続人の1人が行方不明という場合、どうしたらよいかと途方に暮れる方も多いでしょう。


今まで音信不通でも、弟さんの住民票や戸籍の附票を取得することにより、現在の住居地がわかる場合がありますので、これらをまずは取得し、確認してみましょう。


相続人の行方がどうしても分からない場合、遺産分割協議を進める方法が2つあります。


一つは、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらう方法です。共同相続人などの利害関係人は、不在者の元の住所地の家庭裁判所に不在者財産管理人の選任の申立てを行うことが出来ます。


不在者財産管理人は、行方不明になっている相続人の財産の管理・保存を行うのが基本の職務ですが、家庭裁判所の許可を得て、不在者本人に代わり遺産分割協議を行うことが出来ます(もちろん、不在者財産管理人は、不在者本人の利益を考慮しながら誠実に協議を行わなければなりません)。


もちろん不在者財産管理人の制度は、他人が不在者の財産を管理する制度であるため、家庭裁判所は慎重に審理し、選任するかどうかを判断します。


調査官の調査や参与員による聴き取り、裁判官による審問が行われる場合もあります。


当事務所でも何度も不在者財産管理人の選任申立てを行っていますが、いつもそう簡単には選任してくれません。


色々な資料の提出を求められますので、弁護士に依頼されるのも一つの方法だと思います。


通常、申立書のほか、不在者の戸籍謄本、戸籍附票、不在者財産管理人候補者の住民票等、不在の事実を証明する資料(不在者の捜索願受理証明書、返戻された不在者宛ての手紙等)、不在者の財産目録及び財産資料(不動産登記事項証明書、通帳写し等)、申立人の利害関係を証する資料(戸籍謄本等)、遺産分割協議のための申立の場合、相続人の範囲を明らかにするために必要な戸籍謄本等の提出が求められます。


住所も変わっておらず、手がかりが全く無いという場合でも、最後の住所地宛に手紙を送ってみる、警察に捜索願を出してみるといったことが要求されているといえるでしょう。


もう一つの方法は、家庭裁判所に失踪宣告をして貰う方法です。


不在者の生死が7年以上明らかでなく、失踪宣告がなされたときは、不在者は不在となったときから7年が経過したときに死亡したとみなされます。死亡したとみなされるので、不在者を遺産分割協議に参加させる必要がなくなります(但し、不在者に子どもがあるような場合は、子供が代襲相続人として分割協議に参加する必要があります)。


失踪宣告は、不在者の死亡を擬制する制度ですので、不在者財産管理人と同じく、あるいはそれ以上に家庭裁判所で慎重に審理され、判断されます。


調査官調査や参与員による聴き取り、裁判官による審問が行われる場合もあります。いずれの方法を取るにしても、相続人に行方不明の者がいる場合は、弁護士相談を一度は受けておくとよいでしょう。

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by suyama4168 | 2016-01-25 17:50 | 相続・遺産分割の相談 | Comments(0)

神戸の旧居留地で弁護士事務所(かがやき法律事務所)を経営。トレイルランニングもしますが、最近は山や河川敷などをゆっくり走ってます。ウルトラマラソン100km6回完走、トレイルランニングUTMB、UTMF完走。


by suyama4168